現代も通用する戦術書〜孫子の兵法〜

書評

(※超長文です。気になる部分だけをざっと見るだけでも生活のヒントが隠れているかもしれません。あとは必要な時にだけ参考にしていただければと思います。)

孫子の兵法は 今から2500年前ほど前の中国戦国時代の戦術書です。

日本、世界の有名な武将や起業家の愛読書でもあり 現代にも通用する知識が説かれています。

かつては、ナポレオン・ボナパルト 武田信玄 黒田官兵衛

現代の実業家では ビルゲイツ ソフトバンク孫正義 与沢翼 など

優れた戦術家たちが 孫子の兵法を活用しています。

長い間読み継がれてきた古典には どんな時代にも通用する普遍の法則があるのです。

計篇

国家にとっての戦争とは、勝っても負けても、多くの犠牲を伴う。

そのため、戦争を始めるときは慎重を期さなければならなかった。

それを承知の上で戦争を始めるときは、勝算が見えてから始めるべきである。

戦争にいつも勝つのは、強い者である、と思いがちだが、違う。

勝てる戦いだけをしている者 がいつも勝っている。

当たり前のように思えますが、非常に重要なことです。

戦う前に勝つこと これは孫子の兵法の基本的な考えです。

そして、戦争とはトリックです。兵法と一般的モラルは関係がない。いかに相手を騙すかが、戦いなのです。

五事とは

戦争の前に考慮するべき5つの要素です。

  1. 戦いの大義名分。味方が団結するための「戦う理由」。(例.ナポレオン)「腐敗した貴族階級の政治から、自由と平等を手に入れよう!」集団の意思とも言える。
  2. :縁起、気温、天候などの自然環境。
  3. :戦場の特徴。ビジネスにおいては市場を知ること。
  4. :リーダーに必須の5条件。
    ①智ー知略があること
    ②信ー信頼を得ていること
    ③仁ー仁慈に富み、部下を愛する人間であること
    ④勇ー率先して行動する人間であること
    ⑤厳ー厳格であること。強い統率力を持ち、監視者としての顔を持つこと
  5. :組織の体系が整備されているか。組織を管理するためのシステムで、同じ人員であっても、問題を起こす組織にもなれば、強い組織にもなれる。

作戦篇

戦争には莫大なコストがかかる。そのため、長期戦は百害あって一利なし。

仕事においても同じで、長時間仕事をして良いことはない。

戦争は完璧でなくとも早く終わらせるべきである。

長期戦では敵わない相手にも、短期集中戦略で勝つこともある。それを体現したのが日露戦争だ。

ビジネスにおいても、短期集中マーケティングは有効な戦略の一つである。

謀攻篇

最善の勝利は 戦わずして勝利すること である。

一生懸命働くことが最善ではなく 最小限の努力で成功するのが最善 である。

彼を知り己を知れば 百戦殆うからず

というフレーズは聞いたことがあるのではないでしょうか。

敵をよく知り、味方をよく知ること。

正しい指導者とは、負ける要因になる隙を見せず、勝てるチャンスをじっと待つ。このような姿勢を取る者である。

勝敗は自分から作るのではなく、隙を見せた相手からプレゼントされるものだ。

勝とう、勝とう、と思うのではなく 負けないようにする のが正しい姿勢である。

勝利のための5条件

  1. 戦うか、戦わないか:ビジネスに置き換えれば、このビジネスをするか、しないか。仕事を頑張ることは大切だが、まずは「するか、しないか」の判断が重要だ。
  2. 全体と詳細を知る:組織(会社)全体の経営を把握することは重要だが、それと同じように、細部を把握することも大事だ。現場の作業を行う人間が抱える問題が、組織全体に悪影響に及ぼす可能性もある。
  3. 上司と部下の温度差:同じオフィスにいても、部下と上司の温度差を埋めるのは容易ではない。この仕事をすれば互いにどんなメリットがあるのかを理解すべきだ。
  4. 準備をして機会を待つ:チャンスが来るまでに万全の準備をする者が最後に笑う。
  5. 実務は現場に委任する:経営側は全体の方針を決めるのみにして、現場のことは現場の人間の方が詳しいので、委任する度量が必要である。真面目な部下と、焦らない上司、という組み合わせが良い上司部下の関係だ。

形篇

勝敗は戦う前に決まっている。

敗者は 戦いの中で勝とうと努力をする

勝者は 勝てる態勢ができてから、負けると決まっている相手に 簡単に勝利する

ビジネスを始める時も、全く同じことが言える。戦術に巧みな人間は、勝つことよりも負けないことを考える。ー敵が勝つ要因は味方にあり、味方が勝つ要因は敵にあるのだ

味方と敵の双方に内在する、相手に勝利をもたらす要因を「虚」という。戦争でも、ビジネスでも、相手の虚を把握することが、正しい戦術だ。

戦う前に勝つための5要素

  1. 度:戦場の分析(市場の規模)
  2. 量:必要物資の量(投入すべき資本)
  3. 数:兵力の数(職員の数)
  4. 称:能力の比較(ライバル会社との能力差)
  5. 勝:勝敗の考察(予想占有率)

これらの条件を天秤にかけて勝敗の分析をして、勝てると判ってから戦いを始める。

勢篇

勢篇は、組織のシステム体系の重要性を示した篇である。

分かりやすい組織構成と、乱れのない命令体系が、組織を効率的に動かす。

正と奇を使い分ける

正は正攻法、、、定石通りや、基本的事項。

奇は奇策、、、相手の虚をつく変わった戦略。

正が奇を生み、奇が正を生む。

これを奇正相生と言う。このために、戦略の世界には終わりがない。

勢篇は組織の力、システムの重要性を説いています。個人とは、どこまでいっても弱い存在である。強くなるか弱くなるかは、組織全体のシステム構成にある。

組織全体の勢ーーすなわち丸太が坂の上から下へ転がり落ちるように、システムが回り始めればーーあとは成功に向かうのみだ。それが戦略の「勢」となる。

虚実篇

戦争とは、敵の虚を撃つことである。虚は、行動・思想・体制など、あらゆる所に散らばっている。

敵に虚があればこれをつき、虚がなく強ければ、無理せず後退する。虚は、敵もまさかと思って警戒していない所にある。

先手を打つことも大事だ。名将はいつも先手を打って相手を思うままにする。相手の思うままにはならない。

兵法においては、味方は集中させて、敵は分散させる。ビジネスにおいても同様で、人材を一つの事業に集中させる企業と、色々な事業に分散している企業では、後者が劣る場合が多い。そのために情報が必要である。問題は、どこに集中させるか?にあるからだ。

無形の境地

理想の軍があるとすれば、それは水のように形を変える、、、無形になれる軍である。

戦で勝利した方法は、二度と使ってはならない。限りなく変化に対応し続けなければならない。

ー水が高いところから低いところへ流れるようにー

戦いでも、強いところを避け弱いところから攻撃すべきだ。軍も敵の事情によって攻撃の形を変えなければならない。

無形の境地こそが、唯一の理想形だ。

軍争篇

軍争とは、有利なポジションを先にとる争いの事。戦いに勝つのはいつも一番強い者とは限らない。その時に有利なポジションにいる者が成功する。ポジション争いは現代ビジネスにおいても重要で、そのための方策が必要だ。

「迂直の計」とは、一見不利に見える作戦で利益を得る方法である。戦争の時に、占領したい場所に直進すれば、相手にバレてしまう。この場合は、迂回し敵を欺きながら、利益で敵を誘い出し手間取らせて、先に要地を占領する。

風林火山

ご存知の通り、武田信玄の旗印にもなっている有名な言葉である。軍は風のように迅速に進み、林のように静かに待機し、攻撃するときは火のように、動かぬときは山のように動かない。行動にはメリハリが必要だ。

中国の歴史においては、遊牧民だった民族が大帝国を築いた例が少なくない。遊牧民は協力して狩りをするため、お互いに旗などで密なコミュニケーションを訓練していた。命令伝達を円滑に行い、全員の行動と意思を一致させることは、ビジネスにおいても重要である。組織の成長には、コミュニケーションの訓練は大変重要である。

九変篇

成功するのは、当初の計画に執着する者ではなく、変化に対応する者である。セオリーと異なる行動をすべき状況を説いた「五利」がここにある。

五利

  • 通ってはいけない道:通りやすい道があればそこを通りたくなる。しかしそのような所に敵は潜んでいる。ビジネスにおいても、簡単そうに見えても、他者が強力だったり、市場が思っていたより小さかったりと、何か問題がないかよく調べる必要がある。
  • 撃ってはいけない敵:弱い敵がいたら攻撃するのが定石だが、囮の可能性もある。もっと重要な目的がある時は、余計な戦いは避けるべきだ。
  • 攻めてはならない城:利益よりも損失が大きくなるような城攻めをしてはならない。ビジネスでも、無理に広い事業展開をしたために失敗することがある。それが攻めてはいけない城だ。
  • 奪ってはいけない土地:占領できても守りきれない土地は、占領しても意味がない。
  • 受けてはならない命令:時に自分が正しいと判断すれば、上司の命令であっても従わず、逆に上司を説得にかかることは、時には重要だ。このような行動ができる社員は会社の宝だ。

時代の変化への対応は、少なからず過去の成功を裏切ることで達成できる。

時に難しい選択を迫られることもある。光があれば影があるように、どんな意思決定にも長所と短所があるために人は迷う。そのトレードオフを考えなくばならない。正解は一つではないのだ。しかし、どの選択にも「利」と「害」がある。どちらがより害より利が大きいか それを賢明に判断するリーダーが必要だ。

相手を自由自在に操る

  • 屈服させるために「害」を使う:相手が進退に困っているのに乗じて屈服させるのは容易い。戦うことがどれだけ害になるかを説いてやればいい。相手の恨みを買うため、この戦略を使う場合は、害を与えるのがあなた以外の誰かである方が良い。
  • 苦労させるために「業」を使う:テロ集団を考えるとイメージしやすい。テロ予告があるだけで、空港やビル、市街では相当な予防策を張ることになる。例えテロが未遂に終わってもこの予防策には手間がかかり、余計な仕事を相手に増やしていることになる。
  • 協力させるために「利」を使う:相手に協力してもらうにはその利益を説いてやることだ。これを得意としたのがApple創業者のスティーブ・ジョブズだ。iTunesに全てのレコード会社を協力させる際、相手に売り上げが上がる理由を説いた。巧みな手法である。

五危

将軍が陥る可能性がある5つの危険を五危と呼ぶ

  1. 勇敢過ぎると戦死する:勝ち目のない戦いでは退却するしかない。死んでは何にもならない。
  2. 臆病者ほど捕虜になる:強者の要求をいつも飲んでしまい妥協を繰り返しているとそこに付け込まれる。
  3. 短期でせっかち者は挑発され易い:挑発に乗り作戦と知らずに攻めると襲撃されてしまう。
  4. 清廉潔白が負けの原因になる:清廉潔白だと恥辱されやすい。そこが隙になるからだ。高潔な品格に付け入る虚が生まれる。
  5. 兵を愛し過ぎる将は負ける:部下を愛し過ぎるボスは、苦労が多い。

行軍篇

有利なポジションを保ちながら危険を避けて動くための、ビジネスにも活かせる3大原則。

  1. 視野を確保する:山越えする際は常にこまめに高い場所を見つけ視野を確保する。ビジネスにおいても、市場の状況に常に目を光らせておかなければならない。
  2. 守備に有利な位置を確保する:高い所にいる敵に、登りながら挑んではいけない。川の下流で、上流から来る敵とも戦ってはいけない。ハリウッドの大手映画会社が超大作を作るために大きな投資をする時は、競争相手と持ち分けて投資する。失敗した時のリスクが大き過ぎるからだ。
  3. 不利な戦いは避ける:負けない戦いをすることは序盤から繰り返しているのでもう十分でしょう。

険しい地形について

  • 険しい地形は、それ自体が罠である。:権利関係や法律が複雑な分野はそれ自体が不利である。
  • 険しい地形には、敵が潜んでいる:それらは大抵、既得権益のためにそのようになっている。
  • その険しさを利用して敵を誘導する:可能ならば、その複雑さを利用して利益をあげるべきだ

小さな敵の動きから敵の内情を見通す観察眼を成功者は持っている。兵たちをじっくり観察すれば、そこに敵の虚が隠れている。

リーダーには、「文」と「武」のバランスが必要である。武だけで厳しい上司は、社員に対して恐怖政治を行い、社員は意欲が低下し自主性が失われる。文だけで怒らない上司だと、いい加減な社員が増える。適当に働いてしまう。良い時は良い、悪い時は悪いと指摘するメリハリや、厳しさと優しさのバランスが必要。

地形篇

ここで最も大事なのは、「敵を知り、己を知り、天を知り、地を知る」ことである。

ビジネスで言えば、敵は競合他社、己は自社、天は社会のマクロの状況(景気、金利、地価、為替、油価など)、地はその市場の状況(マーケットの特徴、流行、大衆の動きなど)だ。

上司と部下の関係において最も大事なのは、

部下は、上司に対してNOを言える態度を持っていること

上司は、厳格さと愛を持っていること

の2つである。会社全体の仕事をよりよくするためにはある程度の越権行為が必要である。そして統制は愛に基づいていなければならない。

九地篇

ここで説いているのは、場所により人の心理は変化するという事。

  1. 散地:自国内。家が近くにあると、士気は上がらない。家が心配になってしまうからだ。
  2. 軽地:戦場の直前。国境付近。まだ戻れるという思いと恐怖で精神が乱れる。こんな場所では戦えない。
  3. 争地:奪えば利を得る戦場。先駆者の利を得られる場所。ビジネスにおいても当てはまる。争地を取られたら、別方面から攻めるのが賢明だ。
  4. 交地:敵味方が往来する場所。
  5. 衢地(くち):利害関係が集中する場所。3以上の諸侯と接しているので、同盟を活かして利益を得る。
  6. 重地:敵領地の深い所。ビジネスなら海外など。ここまで来たらビジネスに集中する他なくなる。本部の管理が難しくなるため、そこには気を遣う。
  7. 圮地(ひち):山林や沼地。市場として不利な場所。
  8. 囲地:入口が狭く出口も狭い場所。
  9. 死地:逃げ道がなく、勝つしか生き延びる道がない場所。ここまで追い詰められると集中力が最大に高まり、名将は死地をうまく利用した。

名将は敵を困らせることに長けていた。上記の地形を相手の立場から考えて嫌なことを仕掛けていく。例えば「重地」は、相手にとっては「散地」になる。こちらの兵にとってはもう逃げ場もなく戦いに最も集中できる場所だ。ここで食糧を奪えば味方は腹が膨れ、敵に与えるダメージは最も大きい。敵の連絡機能や主要機能を止めてしまうこともできる。

場所により心理が変化するというのは、日常生活にも応用できる。相手に応じて適用しなければならない。

火攻篇

火攻めは古代最強の大量殺戮兵器である。実行するには最高の条件が必要だ。大気の状態、風、敵陣の状態と居場所、味方の居場所。完全な条件が揃った時に発動可能な一撃必殺技だ。起こる可能性は低いが、将はいつでもその可能性(最悪の事態)を想定しなければならない。

用間篇

スパイの用い方について。情報に金は惜しんではいけない。また、一大事を占いや直感に頼る者は今も昔も実に多い。大事な場面では、感情的になってはいけない。集めた情報から最も合理的な判断をし、神や運に頼るのはそのあとだ。だから、「人事を尽くして天命を待つ」のである。

まとめ

孫子の兵法は、何度も書いている通り「戦略」に関する書です。正しい戦略は、成功するまでの道しるべです。戦略がずれていると、いくら努力をしても成功に辿り着きません。正しい戦略があれば、理想のゴールに向けてまっすぐに最短距離で進めます。これは2500年前の書物ですが、現代の仕事、日常生活にも当てはまると思いませんか?仕事もプライベートも充実させるためには効率的な戦略が必要です。ぜひ孫子の兵法を参考にして、理想の生活を手に入れてください。

参考資料

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書評
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