論語の現代語訳を読んで気に入った文
論語とは、2500年前の中国の孔子とその弟子たちの言行録で、「孟子」「中庸」「大学」と並ぶ『四書』に数えられる名著です。
「聞いたことはあるけどとっつきにくいし、わざわざ読む機会もない」
というのが一般的な意見かと思います。しかし「論語」は、現代の僕らの生活にも活かせるような、座右の銘にもできそうな言葉の宝庫です。「道徳」の根幹とも言えます。
僕が初めて現代語訳を読んでみて、響いた言葉をランキングにしたので、ぜひ読んでみてください。
5位:為政(いせい)編「不惑」
白文
子曰、吾十有五而志乎学、三十而立、四十而不惑、五十而知天命、六十而耳順、七十而従心所欲不踰矩。
書き下し文
子曰く、吾十有五にして学に志す。三十にして立つ。四十にして惑わず。五十にして天命を知る。六十にして耳順う。七十にして心の欲する所に従えども矩(のり)を踰えず(こえず) 。
現代語訳
孔子は、15 歳で学に志し、 30 歳で精神的にも経済的にも自立を果たした。そこから 10 年の修行を積み、 40 歳で物事の道理が分かり、どんな問題が起こっても惑わないようになった。
そして50歳では自分が何のために生まれてきたのかの天命を知り、60 歳になると人の話を素直に聞くと直ちに分かるようになった。
70 歳になると、心のままに行動しても、決して人の道を踏み外さなくなった。
感想
有名なフレーズの 1 つです。変化する年齢ごとにおける課題はあるのだと思います。
例えば 20 代ならば、基本的には健康に関する悩みは少ないが、経験不足や精神の弱さから人生に迷うことも多くあるかと思います。そして逆に欲に溺れる事もあります。
関連事項として思いついたのが、有名な『思考は現実化する(ナポレオン・ヒル著)』の17章で、人は、40代までに成功した人はいないという話を思い出しました(まあスポーツ選手とかは別だと思いますが、なるほどど思いました)。
色々な理由があるのですが、そのくらいの年齢になって初めて、欲の持つパワー(最も強いのは性欲)をコントロールし、仕事に転換する事ができるようになるからという理由でした。興味のある人は読んでみてください。
4位:雍也(ようや)編「文質彬彬」
白文
子曰、質勝文則野、勝質文則史、文質彬彬、然後君子。
書き下し文
子曰わく、質(しつ)、文に勝てば則(すなわ)ち野(や)。文、質に勝てば則ち史(し)。文質(ぶんしつ)彬彬(ひんひん)として然る後に君子なり。
現代語訳
「人としての中身(本音)が外見より強調されると、それは野暮だし、逆に外面がよくって、中身がなさそうなのは誠実さがない。外面も内面もほどよく調和がとれている人が、立派な君子と言える。
感想
似たような言葉で、顔淵編「毛と皮」という項目もあります。子貢が言いました。
「文(かざり:見た目)と質(中身)は同等のもので、文は毛で質は皮のようなものだ。毛と皮があって初めて虎豹と犬、羊の区別がつく」
というような言葉でした。「人は見た目が9割」という本がベストセラーになるほどに、人は無意識に見た目に左右されています。ただし論語的には、中身と五分五分で大事だという事ですね。
3位:述而(じゅつじ)編「仁遠からんや」
白文
子曰、仁遠乎哉、我欲仁、斯仁至矣。
書き下し文
子曰く、仁遠からんや、我仁を欲すれば、斯ち仁至る。
現代語訳
仁は遠い場所にあるのだろうか?いや、私が仁を本当に求めるのであれば、仁はすぐにでもここにやってくるだろう。
感想
仁は自分の心の中にすでにあるので、それに気づく事。
答えは自分の中にある。一番身近にある答えに気づかないことは、往々にしてあると思います。
2位:子罕(しかん)篇「歳寒」
白文
子曰、歳寒、然後知松柏之後彫也。
書き下し文
子曰く、歳(とし)寒くして、然る後、松柏(しょうはく)の彫む(しぼむ)に後るる(おくるる)を知る。
現代語訳
先生が言われた。『寒さの厳しい年に、初めて松と柏の葉が、他の樹木よりも遅く枯れ落ちることが分かるのだ。』
感想
事が起こった時に初めて、その人物と、他との差が表れる。
日頃から思考の中では難しい問題に触れ、いざという時の備えとする必要があると思う。それは学びであり、いざという時の精神的落ち着き、余裕を得るために。そうありたいと思います。
1位:為政編「学びて思わざれば」
白文
子曰、学而不思則罔、思而不学則殆。
書き下し文
子曰く、学びて思わざれば則ち罔し(くらし)、思いて学ばざれば則ち殆し(あやうし)。
現代語訳
物事を学ぶだけで、自分の頭で考えなければ、物事ははっきりしない(本当の知識が身につかない)。自分で考えるだけで、師から学ばなければ、それも(独断・独善の弊害が生まれ)危険である。
感想
論語の中でも最も有名なフレーズの1つです。これが好きなので、知名度も高いし、感服度も高かったので、1位にしました。学ぶことと、自分の頭で考えることの両輪ともが大事な事です。
関連と思う項目で、衛霊編
「子曰く、吾(われ)嘗て(かつて)終日食らわず、終夜寝ねず(いねず)、以て思う、益なし。学ぶに如かざるなり。」と言う言葉もあります。
一日中食事もせず、一晩中寝もしないで考えたことがあるが、無駄であった。学ぶことには及ばない。つまり、思うだけでは益がないので、一日中考えるより、古典や聖書を読んだ方が良かったと言う事です。また、食事や睡眠を我慢したりするような苦行には否定的でもあったそうです。
これらから、インプットと、自分で考える力の両輪を鍛える事が大事だと思いますね。
まとめ
いかがでしたか?僕個人的には、現代語訳だけの本でまず全編を読んでみましたが、やっぱり言葉のリズムや語感ってあると思うので、白文と書き下し文もセットで読みたいなと読んでてすぐに思いました。素晴らしい言葉は、声に出して読んでみても響が良いものです。
「論語」は、ぜひ座右の銘にも取り入れたいような言葉がたくさんあります。そして、話しているときにさっと引用できちゃったりしたら、大人な感じ、教養人である感じがするので、職場でも尊敬されたり評価アップするかもしれないですよ?
ぜひ、この機会にあなたも論語を読んでみては?
ちなみに僕が読んでみた現代語訳はこちら。現代語訳オンリーですので、初めてでも全然読めます。ただ、白文や書き下し文と比較して読みたいな〜と思いました。でも全20編を網羅しているので、意味を理解するのに良いと思います。
ネットの評価とか色々みて無難に良さそうなのが岩波文庫。ちゃんと白文、書き下し文、現代語訳とあるし、初めての方のレビューも多かったので。あと、amazonでのレビューの数が一番多い。