飲食のマーケティング「GOT MILK?」成功の秘訣

マンネリの食品を買わせるハードルを突破した、ある広告の事例を紹介したい。

「GOT MILK?」キャンペーンというアメリカのカリフォルニア牛乳協会による 牛乳の愛飲促進の広告だ。「GOT MILK?」は牛乳ある? 牛乳飲んでる? という意味である。

牛乳の販売が上向かなかった時代背景

1993年に、このキャンペーンが始まるまで、1人あたりの牛乳消費量は、 5年にわたり減少し続けていた。もちろん、過去5年の間にも牛乳の飲用促進キャンペーンは行われていた。

「Milk Does a Body Good」(ミルクは体にいいですよ!)

というもので、政府による健康促進キャンペーンと同時に行われた。1日数杯の牛乳を飲むだけで健康を維持できる、とアピールするものだ。

キャンペーンの結果、8~3%の人が牛乳は栄養価が高いと認知した。また、8%の人が牛乳にはカルシウムが含まれていることを知り、その中の多数が、牛乳のカルシウムで骨粗しょう症を予防できると理解した。

しかし、これだけ認知や理解が進んでも牛乳を購入する人は増えなかった。

GOT MILK キャンペーンのCM

まずは動画を見てもらった方が話は早い。

Original "got milk?" commercial – Who shot Alexander Hamilton?

ついでにもう1本!

Baby Cat – got milk commercial

この「GOT MILK?」のキャンペーンは、テレビCMにも、かなり多くのバリエーションがある。

基本的なパターンでいうと、初めに登場人物が甘いビスケット、ケーキ、シリアルやパンなどを食べているシチュエーションが描かれる。

美味しくてたまらないという表情だ。
そこで牛乳を飲もうとすると、ちょうど無くなっていたり、自動販売機が壊れて出てこなかったりする。

手が届く寸前で、飲むことができずに終わるというオチがついて、「GOT MILK?」の文字で終わる。 また病院で、全身をギプスに固められた主人公や、飛行機を操縦中のパイロットなど、様々なパターンがある。

それぞれオチがついており、まるでコメディ映画のようなCMで親しまれている。いずれも牛乳が飲みたい、でも飲めない、という共通シチュがある。

キャンペーンの結果、開始した1994年の牛乳販売量が、7・4億ガロンから、7・ 8億ガロンへと久しぶりに上昇した。さらにテレビCMはカンヌ国際広告祭、クリオ賞など、世界最大級の広告賞を総ナメにした。

広告の切り口がポイント

この広告の優れた点は、どうしても牛乳を飲みたいと思うシーンやシチュエーションを発見したことだ。

 甘いものを頬張っているときに牛乳を飲むと、たいへんに美味しい。それは誰もが何度も経験していることだ。テレビCMを見ると、皆が経験を思い出し、共感し納得する。

このような、広告の切り口発見が第一のポイントだ。さらにもうひとつのポイントは、広告のストーリーだ。牛乳を飲みたいシチュエーションを説明的に伝えるのではなく、ドラマ仕立てでインパクトを持って伝えることで緊急性を感じさせた。

知識よりも欠乏感

今すぐに飲みたいと思わせることに成功し、結果的に売上アップにつながったのだ。

以前のCMでは、栄養素や病気予防の知識は増えたが売り上げには繋がらなかった。

しかしこの「今すぐに飲めないと本当に辛い」という欠乏感は、飲むと健康に良いというメリット感と比べて、非常に強いインパクトがある。 

人を一番動かすのは「感情」だったりするものだ。

コメント